2022年も残すところわずかとなりました。
2022年4月に活動を始めたわたしたちにとって、初めての年の瀬を迎えております。
さて、
一部のマニアックな情報好きの皆様から(笑)、反響の大きかったポリヴェーガル理論。
*ポリヴェーガル理論シリーズはこちらから
待望の(?)続編です!
不登校の子どもへの対応は、
マズローの欲求五段階説に当てはめて考えるのが良さそう。
そんな内容を、
当サークルでも冊子にしてお渡ししているのですが、
もう一歩踏み込んで、ポリヴェーガル理論に当てはめると、
生理学的な知見から、なるほど!と思えることがたくさんあります♪
早速本編です!
今回も長文になること間違いなしです!笑
不登校と3つの自律神経
前回のポリヴェーガル理論シリーズでは、
今まで、交感神経・副交感神経の2つであるとされてきた自律神経、実は3つあるんだという話題で始まりました。
交感神経・腹側副交感神経・背側副交感神経の3つです。
普段は背側腹交感神経を除く、
従来の交感神経・(腹側)副交感神経の2つがシーソーのようにバランスをとっています。
★おさらいポイント★
交感神経とは・・
【やる気と集中力】
心と身体をエネルギッシュに働かせるためのもの
・表情筋を含め筋肉は収縮
・消化は抑制など
(腹側)副交感神経とは・・
【リラックスとコミュニケーション】
心と身体を休ませ、回復させるためのもの
・表情筋を含め筋肉は弛緩
・消化促進など
この従来の2つの自律神経では
対応できないほどのストレスや危険にさらされたときに発動するのが
3つ目の自律神経、
背側副交感神経です。
こちらは普段あまり働いておらず、
あまり知られていない第3の自律神経です。
この背側副交感神経のスイッチがONになると、
一般的な2つの自律神経の特徴がごちゃ混ぜになったような状態になります。
背側副交感神経がONになると・・
【体】低い心拍数・筋肉は弛緩・動きは緩慢
=副交感神経が優位のような状態??
【心】危険/刺激に敏感・不安/緊張・気力の低下
=交感神経支配下のようなストレス反応状態??
そう、
従来の2つの自律神経では説明が付かなかったことから、
わたしが大好きなポリヴェーガル理論が提言されたという経緯です。
不登校を含め、
心身に不調を訴える多くの時、
背側副交感神経を加えた、これら3つの自律神経のどれかが
「過剰になっている」状態だと考えることができます。
不登校の時期によく見られる3つの状態
家で見守る親にとっても辛い不登校。
何が辛いかって?
それは以下のような状態がとても長く続くから!
学校に行かないも辛いけど、
毎日一緒に過ごす家族の、こんな姿を目の当たりにするのが辛いんですよね。
①反抗的・攻撃的
②殻に閉じこもる
③家では元気、でも外にはいけない
一つずつ見てみましょう。
読み終えたあと、
ポリヴェーガルすげぇ!となること間違いなしです笑
反抗的・攻撃的
生理学的に見ると、このような反応は
『交感神経支配の逃走・闘争反応である』と言えます。
敵わない相手に追い詰められたネズミは、
最初は走って逃げようと試みますが、
もうダメだ、と思った瞬間、
「窮鼠猫を噛む」
そう、無謀で捨て身な攻撃で身を守ろうとします。
これが逃走・闘争反応です。
感情を外に向ける子に見られる状態に当てはまります。
~自律神経から見る様子~
・きつい表情・鋭い目つき
・刺激に敏感(すぐ危険と判断)
・会話は「聞けない」状態
・食欲が湧きにくい
・身体の緊張・こわばり
・触れられるのを嫌う
心は体の神経の反射です。
なのでこの時の状態は、
・後にも先にも危機回避
・鬼の形相
・相手の一挙一動が攻撃
・身体接触は即反撃
・言われた言葉も飛び道具「うるさい!だまれ!」反応
こんな風にイメージすることができます。
どうですか?
ぴたりと当てはまりませんか?
じゃあこんな時、どう接したらいい?
これも、ここまで分かっていれば自ずと分かりそうです。
そっとしておく
何を言っても、
何をしても、攻撃と取られてしまいます。
マズローに則るなら、
安全欲求を満たしている最中だと言えます。
殻に閉じこもる
次に、
感情が内に向きやすい子に多いのが、
自室に閉じこもって出てこない、
何日も顔を合わせていない、
そんな状態。
これは
『背側副交感神経のスイッチがONになった』状態
と言うことが出来ると思います。
逃走・闘争反応ではなく、
シャットダウン状態。
上記のネズミの例になぞらえるなら、
「死んだふり」状態です。
危険やストレスに耐えつつ、
命が消えてしまわないように、
エネルギーを最小限に抑え危険が過ぎるのをじっと待つ・・
そんな身を挺した対処法です。
~自律神経から見る様子~
・殻に閉じこもる
・どんよりした目元など、覇気のない表情
・刺激に敏感(すぐ危険と判断)
・会話は「聞けない」「言えない」
一般的に、
感情が内に閉じこもってしまいがちなケースの方が、
外に向くケースよりも回復に時間がかかる、と言われていますが、
それはこの背側副交感神経のスイッチがONになるという状況が、
生理学的に見てとても重大な危機的状況だから、
と説明付けることができます。
普段滅多にONにならない背側副交感神経は、
一旦ONになると、OFFにする確たる経路がない、と言われています・・
氷を溶かすように、
心をゆっくりじっくりほぐしていく時間が
たくさん必要だ、
とポリヴェーガル理論を提唱したポージェス博士は言っています。
なのでここでの対応も、
交感神経の逃走・闘争反応と同じように、
そっとしておく
マズローの欲求5段階説に当てはめると、
安全欲求をひたすら供給できる家庭でありつづける
これしかないようです・・
家では元気、でも外には行けない
さて、これは少し希望が持てる段階まで回復した状態ですね。
家では楽しく過ごしていて、
気の向くままにゲーム、
おしゃべり
好物を食べる!
そんなに元気なら、
外に行って運動でもしてきたら?
そろそろ何か活動始めたら?
勉強でもしてみたら?
そんな想いが親の心にも芽生える時期でもあります。
何せここまで来るのに、
すでに結構な時間がかかっていることが多いですから・・
でもここで腹側副交感神経の働きを振り返ってみましょう。
心と身体を休ませ、回復させるための状態。
心地いい湯舟に浸っているような状態です。
~自律神経から見る様子~
・心と身体を癒し中
・リラックスしている状態
・やる気満々ではない状態
・会話も「聞ける」状態
・やわらかい表情
・食欲がある
・朝は比較的弱い
★回復してきて、自宅で穏やかに過ごせている状態
★社会的欲求が芽生える状態
やる気と集中力をくれるのは、
交感神経の管轄です。
ドーパミンやノルアドレナリンを脳内に放出してくれるのが交感神経です。
交感神経がほどよく働くところまでは、
まだ回復していない、ということです。
なので、
存分に好きなことをして、
しっかり回復してね、という状態。
それに加えて、
(腹側)副交感神経が優位な状態というのは、
社会性が芽生え、広がる状態でもあります。
親子の会話が弾むようになったり、
ちょっと外の世界に興味・関心を示すようになったりするには
この(腹側)副交感神経がしっかりと働く必要があります。
そう、心身の回復と同時に、
社会性、つまり社会的欲求を回復している最中だと言えるんですね。
ここまで分かっちゃうと、
子どもの状態に合わせて、どんな対応をしたらいいか・・
そんな自分なりの答えが見つかっていくのではないかと思います。
ただし・・
子どもの状態って、
ほんとに大波小波・・
浮き沈みが激しい!
こっちも気分だってある!
ということで、
難しいというのは変わらないかもしれませんが、
訳わからん!
と思っていた我が子の言動の胸の奥を、
ちょっと覗けたのだとしたら、とても嬉しいです。
こんなマニアックな長文を
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
それでは皆様、よいお年を!
おまけ
焼石に水
馬の耳に念仏・・
そんな気休め程度にしかならないと思いますが、
①逃走・逃走反応状態/シャットダウン状態
②(腹側)副交感神経でまったり中
の子どもたちに影ながらエールを・・
それはきっと、食事くらいしかないのかな?と思い、
そっと用意する食事にもし気を配るなら、こんなものを・・
というのをまとめました。
①逃走・闘争反応状態/シャットダウン状態の食事
このような状態にあるお子さんに、
働かせてほしいのは、
「腹側副交感神経」です。
一般的に副交感神経と呼ばれているもので、
一般的に副交感神経アップに良い、とされる食品はこちら。
・消化の良い炭水化物
・水分
・ビタミンC(旬の果物、生野菜のサラダ)
・甘いもの
夕飯のデザートに果物や甘いものなら、
取り入れやすいかもしれませんね。
②(腹側)副交感神経でまったり中状態の食事
こちらでは、
次に働いてほしい交感神経アップに良さそうな食品が良いと思います。
・豚肉
・ビタミンA,D,E
・根菜、温野菜
・塩気のあるもの
体を燃やすイメージです。
豚汁やフルーツグラノーラ、
ビーフジャーキーなどがお手頃でしょうか。
色々と書きましたが、
何よりもお子さんの好きなものという視点で、
あまり型にはまらずに、
参考程度に選んでくださいね。
わたしにできることは食事の用意くらい・・
そんな苦しい思いの中で、
自分の気休め程度に取り入れたりしていました。
正直なところ、
食事のみで自律神経のバランスを整えるのは難しいです・・
それでも
何もできない、
から
今日は果物を用意できた!と
1つでも思えることで、
自分の心がほんのちょっとだけ軽くなったりしました。
ほんのちょっと、ですが笑
そして不登校を見守る親御さん方も、
どうか自分の心を癒す意識も忘れないでほしいと思います。
イライラしているときは、
副交感神経アップの食事を。
落ち込みがひどいときは
交感神経アップの食事を。
自分のためにも取り入れてみてくださいね♪
それでは今度こそ、
良いお年を!
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