【事例】県外に拠点のある私立高校への入学に際して
2024年の年明けに、
県外にお住まいの方から
当サークル宛に一通のメールをいただきました。
次年度、
県外に拠点のある通信制私立高校へ入学予定の
書字障がいをお持ちのお子さんへの合理的配慮の実現に向けて、
「前例」
を求めて、
当サークルの小浦さんの講演会の議事録にたどり着いたそうです。
学校との協議が思うように進まない、
というところからメールのやり取りが始まり、
最終的に
お子さんにとって望ましい配慮が約束された、
という報告を頂きました。
今回の実例紹介では
合理的配慮の実現のカギとなった窓口の紹介をメインに
その道のりを
実名、学校名、所在地を伏せた匿名の形で
共有いたします。
この実例が
一人でも多くの方のお役に立ちますことを願って。
情報共有をご快諾くださり、
本当にありがとうございました。
学校との協議にあたって
ハードルとなったもの
合理的配慮の実現にむけて
学校との協議の壁(ハードル)となったものは、主に以下の点だったそうです。
・県外という実際の距離が協議の壁に
・在籍中学校での配慮実績*が引き継がれなかった
*定期テストのPC入力回答
・「前例がない」
・「人手が足りない」
県外の学校ということで、
居住地の教育委員会は関与できない、
との対応だったそうです。
協議の内容 ~当初~
当初、
高校に提出した要望は
PCまたはタブレット入力によるレポートの提出およびテストの回答
これらの要望を
・医師の診断書
・個別の指導計画書
などの書類を添えて提出されたそうです。
その際、
学校からの提案は
・平仮名の回答はOK
・解答用紙の拡大コピーOK
・三年生時の総合的なレポートはPCで作成可
「前例がない」
「人手が足りない」
などの理由で、
PCの使用については合意が得られなかったそうです。
その後、
電話での協議が続いたものの、進展はしなかったそうです。
協議の流れを変えたもの
【私立学校総務学事課】という窓口
なかなか話し合いがうまくいかず、
いろんな方に相談する中で、
【私立学校総務学事課*】というものがあると知ったそうです。
*こちらは現在、各都道府県の該当情報を確認中です
そこで、
拠点のある県の私立学校総務学事課の方に電話相談したところ
該当高校に助言指導をしてくれるとの回答を得たそうです。
その後、
学校との対面での協議の場を設け、
・拠点のある県の総務学事課と相談していること
・県を通して学校長と協議することも可能だということ
・合理的配慮提供に関する法改正があったこと
などを改めて伝えると
その場であっさりと要望が通ることになったそうです。
~最終的に得られた配慮~
・レポートのPC入力での回答
・授業においてその場で書かなければならないプリント類に関してはタブレットPCで入力した画面を先生に見せることで可
(プリンター接続できる環境がないため)
・テストも同様にタブレット入力で可
【まとめ】私立の通信制高校という進学先
ある意味、
まだまだ一般的な進学先ではない
《県外に本拠地がある私立の通信制高校》
協議が難航した理由の一つになったように思う、と綴られていました。
実際、
この記事を書いているサークルメンバーみさこの長男の高校受験の時も、
私立の通信制高校を受験する際には、
情報収集から出願など、
ほとんど全ての手続きを、親が主導でする必要があると言われました。
公立高校、
県内にある私立全日制高校、
そして県内にある公立の通信制高校、
つまり、
私立の通信制高校以外のすべての進学先は
学校主導でサポートしてくれるんですよね。
(合理的配慮の協議ではなく進学に関して、です)
また、
自県の教育委員会に相談したとしても、
この「私立学校総務学事課」という相談窓口を紹介してもらえなかった、というか、担当の方もご存じなかったのでしょう。
暗に自分たちで交渉するように言われたそうです。
実際に別の学校で
「個人にそこまで対応できない」
「私立なので合理的配慮は提供しない」
と言われたこともあるそうです・・・
どんな学校に在籍しようとも、
子どもの権利は変わりません。
どんな学校に進学しても、
子どもたちが安心して学べる環境が約束される、
そんな世の中になってほしい。
この「前例」が
全国の必要とされる方の一助となりますことを願って
本記事のまとめとさせていただきます。
情報共有をご快諾下さったAさんに
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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