ポリヴェーガル理論シリーズ③ もう1つの自律神経

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ポリヴェーガル理論が示唆するもう一つの自律神経

はい、お待たせいたしました!

ようやくポリヴェーガル理論が出てきました笑

ここで初回と2回目のキーワードを回収しましょう!

「自律神経には、交感神経と副交感神経、そして隠されたもう1つの副交感神経がある」

「自律神経は体と心を左右する」

もう1つの副交感神経って、
まったくもってハテナ?ですよね。

ここに触れる前に、
この理論が提唱された背景を少しご紹介します。

人間には本来、
シリーズ2回目でご紹介した自律神経系が備わっているとされています。

ですが、
この2つの自律神経系では、
説明が付かない状態というものがあったそうです。

この理論を提唱したポージェス博士が、
最初に研究していたのが、
トラウマ体験をした方についてです。

性暴力や虐待などの、
恐ろしい体験をした方の状態は、
従来の2つ自律神経系だけでは説明が付かなかったそうです。

そこで登場したのが、2つめの副交感神経です。

副交感神経には2種類あると言います。

①本来人間ではメインで働いている副交感神経

②進化の過程で普段は隠れている原始的な副交感神経

普段はひっそりとしている、
この②の原始的な副交感神経が発動するとどうなるか・・・

固まる(フリーズ)」です。

回路を全部切ってしまうような、
シャットダウンの反応が起きると言われています。

つまり、
逃げても、戦っても、
敵から身を守る術がないと判断した時の、
「死んだふり」状態だと言うことです。

これは進化的に見ても、
カメなどの爬虫類では現役で働いていて、
危険を感じると甲羅に頭や手足をひっこめて動かなくなりますよね。

また、哺乳類でも、
自分より大きな肉食動物に襲われたとき、
命は尽きていないにもかかわらず、
ピクリとも動かなくなってしまいます。

人間にも同じものがまだ残っている、
とポージェス博士は言います。

フリーズする程度の強弱はあるようで、
完全にシャットダウンしないまでも、
ストレスからくる下痢や消化器系の不調などもに関与していて、
各種精神疾患、拒食症、回復するのに長い時間がかかる精神面の不調に深く関わっていると博士は言います。

どうしてこのような精神疾患などでは回復に長い時間がかかるのか。

それはこの原始的な副交感神経から、
人間が本来優位に働かせるべき自律神経系に回路を切り替えるスイッチがないから、
だそうです。

ここまで学んだ時、
わたしはもう鳥肌が立ちました。

わたし自身も若かりし頃、
重いうつ病を患い、
回復まで実に10年以上という長い時間がかかりました。

加えて、うちの子どもたち。

上の子は不登校になって、
家で安全に過ごしているにも関わらず、
ずっと心にある重しが取れないみたいだし、

下の子の場面緘黙症は、
まさにこの「フリーズ」状態だと思ったからです。

場面緘黙症には、
外で話せない以外にも、
動作が固まってしまう緘動(かんどう)症状というのがあり、
まさしくフリーズ!なのです。

わたしたちは日々、
自分の「意思」だけで、
自らの行動を決めている、
と思いがちですが、

自分の意思ではどうにもならない、
「なんとなく」やりたくない、
「なんとなく」こうしたい、
のような、
もっと深いところから湧き出て来る感情によって、こんなにも行動に影響がある。

この深い所から湧き出て来る感情を左右しているのが、自律神経系。

これを知るだけでも、
自分や周りにいる人、
特に生き辛さを抱える人たちの心を知ることが出来ると思います。

その人の行動や様子は、
その人の自律神経系のバランスから来るもので、
悪意から来るものじゃない。

こうすべきだ、
みたいな意思の強さとは無関係。

そう考えることができれば、

その人の様子や状態=その人そのもの

みたいな、
人格全否定な考え方ってできなくなると思うんです。

ポージェス博士はこの理論を応用して、
自閉症などの発達障害についても研究を進めておられます。

次回はついに、ポリヴェーガル理論から発達障害に迫ります!

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