ポリヴェーガル理論と発達障害
シリーズも4回目にして、ようやくここまで来ました!
ポリヴェーガル理論を提唱した、
ポージェス博士が研究していた自閉症について話を進める前に、
自律神経系と「安全と危険」についてご紹介します。
自分にとって「安全」か「危険」か、
という考え方は、
野生動物にとってはそのまま「生か死か」に直結する、動物にとってはその命に関わるとても大切なこと。
でも人間だって動物です。
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/サル.png)
おサルさんの時代を経て、
人間へと進化し、
社会というコミュニティに生きるわたしたちにとっても、
実は「安全か危険か」を判断することが、
円滑な社会生活を送るための重要なキーとなっています。
この人間が社会生活を送る上で、
「安全か危険か」と判断するのに、無意識に使っているのが
そう、自律神経系なのです!
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/1535782-1024x1024.jpg)
ポリヴェーガル理論、再び登場!
人間関係って、
時にふざけたり、
気を使ったり、
からかってみたり・・
色んな場面があって、
一番分かりやすい例が子ども同士の戦いっこや鬼ごっこなどの遊びです。
戦いごっこや鬼ごっこは、
紙で作った剣を振りかざしたり、
全力で走って逃げたり、追いかけたり。
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/1831860.jpg)
こんな場面でも、
時に本気でケンカになったりすることもありますが、
基本的には「あそび」なので、
相手が本当にケガをしないように注意したり、
相手の表情などを見ながら「加減」をしています。
この「加減」ができる力こそ、
副交感神経の「社会性」のなせる業。
色んな場面で、
「安全だよ」
というサインを受け取ってくれているのが、副交感神経だと言われています。
そうなんです、
円滑な社会生活を送るためには、
この副交感神経の「安全アンテナ」が働いていることが、とても大事。
この安全アンテナは、
人の表情や声のトーン、
アイコンタクト、
そんなものを上手にキャッチして、
多様な場面においても社会性を発揮しやすくなる、と考えられています。
一方の交感神経は何をキャッチしているかというと・・・
「危険」です。
そう、交感神経は「危険アンテナ」なのです。
だから交感神経が過剰に優位になっている人は、
自分の周りにある情報を、
危険アンテナで受け取ってしまいやすいので、
生まれる反応は、「逃げるか戦うか」になりがちなのです。
また、
危険アンテナがたくさんある状態では、
安全サインはキャッチできません。
言い換えれば、
人の表情や気持ち、
アイコンタクト、
その場の空気、
そんなものをキャッチしにくい状態。
さぁ、ここでピン!と来た方もいらっしゃるかもしれません!
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/2262852-1024x1024.jpg)
この状態、自閉症の症状に似ていませんか?
ポージェス博士の研究によると、
自閉症は、
この安全アンテナを発動させる副交感神経の働きが、と~っても低い状態、なんだそうです。
目が合わない、
対人関係や会話に困難があるのは、
それを受け取れるアンテナがないから。
常に「危険アンテナ」を使っている彼らにとって、
あらゆる刺激を
「逃げるか?戦うか?」
と判断していると考えると、
すごくしんどい状態だと思いませんか?
自閉傾向のある子に、
感覚過敏が多いのは、
危険アンテナをやたらと刺激されている状態なので、これ以上アンテナを刺激しないで!という神経系からのSOSだと考えることができます。
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/No.jpg)
逆に、
感覚過敏があるにも関わらず、
発達に必要な感覚刺激が入りにくい、
と言われているのは、
発達に必要な感覚刺激は、
安全アンテナでないとキャッチできないから。
また、
いつもと違うこと、
不意打ち、
不規則性を嫌うのは、
不規則な不意打ちの危険ほど、怖いものはありませんよね。
目が合わないのは、
対人関係に苦手があるのは、
決して彼らの意思ではないんです。
わたしたちが見てる世界と、
自閉症の彼らが見てる世界、
こんなにも色味が違う。
自閉症に関わらず、
10人いれば10通りの感じ方、見方があるんですよね。
同じようにポリヴェーガル理論に当てはめて考えてみると、
うちの娘の持つ場面緘黙症は、
もう一つのシャットダウンを起こすと言われている副交感神経のしわざなのでは?
以前の記事にも書きましたが、
場面緘黙症には、
話せない、だけではなく、
動けなくなる緘動(かんどう)症状があります。
また、
一番ひどい時期には、
食べ物を受け付けなくなる、拒食もみられました。
今でも緊張が強い場面では、
「食べる」という行為が意外にハードルが高いです。
先の記事で少し触れましたが、
このシャットダウンを起こす副交感神経は、
特に横隔膜から下の臓器、つまり消化器系に繋がっていると言われています。
ストレスから「食」に影響することは多いですよね。
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/思春期落ち込む.jpg)
ストレスから過食気味になったり、
拒食気味になったり、
はたまた、お腹を壊したり。
精神状態がお腹に来やすいのも、
ポリヴェーガル理論で説明がつく、というわけです。
また、各種発達障害には、
「社会性」に関わる症状が多いですよね。
この社会性に困難があるのは、
安全アンテナを立てる副交感神経と、
危険アンテナを立てる交感神経のバランス、
そしてシャットダウンしやすいのかどうか・・
に関係していると説明することができるんじゃないかな、と個人的に思っています。
ちなみにうちの上の子、
現在不登校中ですが、
元々HSC(Highly Sensitive Child:敏感過ぎる子)気質を持っています。
このHSC気質も、
もしかしたら、
安全アンテナが過剰に多い状態なのでは?
と勝手に推測しています。
安全アンテナが過剰に立っていると、
あらゆる場面から、
「安全」サインをキャッチしようと、すごく敏感になってしまうんじゃないか・・
要はアンテナの感度が良すぎるのではないか?
HSCの子たちは、
周囲に対する気配りがとっても上手です。
場の空気を読んで、
それを乱さないように自分が立ち振舞うことがとっても上手です。
でも裏を返せば、
1人で周りをしょい込んでいるようなものです。
![](https://pocoapoco.gardenia335.com/wp-content/uploads/2022/06/1101649-184x300.jpg)
場の空気を乱さないように、
ものすごく気を使って、
結局自分の本当の気持ちに蓋をしやすいもの特徴ですよね。
上の子が不登校になった直後、
わたしからは問題なく通っているように見えていた、と話したことがあります。
その時、彼が言ったのは、
「だって、辛そうにしてたら、お母さん心配するやろ?」
でした。
もう、涙が止まりませんでした。
ごめんね、気付けなくて。
ごめんね・・って。
どうしようもなくなるまで我慢していたってことですよね。
こんな風に、
ポリヴェーガル理論を知った後のわたしの頭の中は、
洪水のようにいろんな物が混じりあって、
そしてそれぞれが1つの入れ物に収まったような、そんな感覚でした。
わたしがのめり込んだ理由が、ここにあります。
さて、
随分とアツく語ってしまいましたが、
次回はポリヴェーガル理論の神髄にせまります!
これを読むと、
今の学校教育に疑問を感じること間違いなし!です笑
ポリヴェーガル理論シリーズ一覧
①はじめに
②自律神経は体と心を左右する
③もう1つの自律神経
④発達障害
⑤不登校
⑥発達ちゃんを育てるママの心境
⑦自律神経を整える
コメント